鈴姫





早朝、秋蛍は桜姫に連れられて、二人のこどもと対面した。


二人とも桜姫より少し年上にみえる。


短く髪を切りそろえた女の子のほうは気の強そうな顔立ちをしていて、秋蛍を見るなりぱっと顔を輝かせた。


「きゃあ、可愛い。おいくつ?おちびさんね!」


頭をくりくりと撫でられて、秋蛍はむっとしながら手を払いのけた。


「ちびって言うな!」


「喋ったわ!声も可愛いわ!」


「喋るだろ。何をそんなにはしゃいでるんだよ」


もう一人の男の子のほうが、女の子を窘める。


男の子は少し釣り目ぎみで、髪は女の子よりも少し長い。

身長も一番高い。


女の子は男の子をちらりと見て、ごめんなさーい、と肩を竦めた。


「ふふ。秋蛍っていうのよ、ね?」


桜姫に顔を覗き込まれて、秋蛍はこくんと一回頷いた。

桜姫はにこっと笑って、二人に手を向けた。


「秋蛍、こちらは瑠璃と昭遊です。あなたと同じ、“候補者”なの」


「こうほしゃ?」

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