鈴姫
「大きくなったら桜姫さまのお手伝いをすることができるのよ。ふさわしい力が身に着いたと認められたらね」
瑠璃が得意げに胸を張って説明してくれた。
その隣で、昭遊が鋭い目を秋蛍に向ける。
「だけど修業を怠ったら、すぐに下におろされるぞ」
「下?」
思わず秋蛍が足元に視線を落とすと、瑠璃がぷっと吹き出した。
「そっちじゃないわよぉ。昨日ここへきたとき、たくさんこどもがいたの見なかった?」
「見た」
「あの子たちはね、“候補者”の“そのまた候補”なの。うかうかしてると追い越されちゃうよってこと」
瑠璃がなぜかお化けの恰好をして秋蛍を脅そうとし、秋蛍は顔をしかめた。
桜姫はくすくす笑いながら秋蛍の背中に手をあてる。
「わたしはぜひ、あなたたちにお手伝いしてほしいわ。一緒に頑張りましょうね」