鈴姫



秋蛍がむっとむくれていると、兵士が四人のもとに走ってきた。


蒼白な顔で、四人の前に跪き、信じられないことを口にした。


「国王様が、何者かの手にかかり…」


全員、息を飲んだ。



「そんな……まさか、あの方が?」


桜姫は声を震わせ、瞳を揺らした。










すぐに国王の葬儀が執り行われた。


人々は突然の死に悲しみに暮れ、黒い衣服に身を包んで国王の冥福を祈った。


桜姫と三官は出席せず、祈りの間でこの騒動の穢れを祓うために祈りを捧げていた。


王宮の最上階にある神聖な部屋で、ここは特別な者しか入室を許可されていない。


ご神体とされている刀を取り囲み、四人は祈りを捧げた。


「それにしてもついてないわね、秋蛍。着任早々、国王様が死んじゃうなんて。あんたもしかして厄病神なんじゃないの」


「……」


「瑠璃。そんなばかなことがあるわけありません」


じろりと瑠璃を睨む秋蛍の隣で、桜姫が瑠璃をたしなめた。


瑠璃がどうかしら、と肩を竦め、真面目な面持ちで口を開いた。


「新しい王をたてなくては。だけど皇子はまだ十にも満たないわ…」


確かに、国王がいないままでは国は不安定になってしまう。


すぐに次の国王をたてたいが、世継ぎである皇子はまだ幼い子どもで、政を任せるのには早すぎる。


どうしたものかと皆が考えあぐねているとき、昭遊が立ち上がった。


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