鈴姫
鏡を通して三人を魔物の腹の中に連れ込み、三人がつくる円の中央に香蘭は立った。
「皆、お願いね」
ハル、トオル、カオルの順に顔を見て、確認する。
三人はそれぞれ、力強く頷いてくれた。
それがとても心強い。
香蘭は円の中で、目を閉じ、手を組み合わせた。
ハルたちも目を閉じ、香蘭へ向かって手を伸ばす。
三人の体から光が発せられ、香蘭へと集まっていく。
香蘭はそれを受け取りながら、どんどん力が増幅するのを感じていた。
しかし、きっとこれでも、笙鈴の力には遠く及ばない。
力を受け取るたびにぴりぴりと体中に電流のようなものが走り、痛みがだんだん強くなってくる。
この魔物を倒せるほどの力は操れないということをひしひしと感じとっていた。
「リン、今よ!」
ハルの合図で、香蘭はさっと手を天に向けた。
そして、一気に力を解き放つ。
たくさんの光が放たれ、魔物の体を通り抜けて結界を打ち破った。
その途端、魔物が苦しそうにのたうち始め、香蘭たちはあまりの揺れに腹の中で転がりまわった。
強く打ち付けられて、気を失いそうになったときだった。