鈴姫
女性は優雅な仕草で立ち上がり、香蘭の正面に立ち、香蘭を見下ろした。
香蘭も彼女を真っ直ぐに見上げた。
「私はこの国の王女、華京じゃ。そろそろ、お前について教えてもらえるだろうか。お前は鈴国の姫、香蘭姫であろう?なぜあの一行に混じってお前がいたのだ」
華京王女は理解できないように眉を顰めた。
「私は、香国に嫁ぐはずだったのです。それで香国に向かっていました。」
「それでは、まさかあの男は……?」
「私の婚約者、香国の王子憂焔でございます」
華京は息を飲み、目をまるくしていたが、何かを悟ったかのようになるほど、と華京は顎に手をやった。
「お前たちもまた、我等同様、かの国王らにしてやられたのだな」
「……、どういうことです?」
「我等は影で香国と手を結び、鈴国を滅ぼさんとしておったのだ」
「え……」