鈴姫


「珀伶王子は、兄に会ったのですよね。兄は……、鈴で、楽しく過ごすことができていましたでしょうか。その、亡くなる前に」


「えっ。……ああ、とても楽しそうに過ごしておられましたよ」


「そうですか……」


珀伶は、まさか自分が鈴王に閉じ込められていたとは言えず、当たり障りのないことを言ったが、宝焔は静かに息を吐いた。


「よかった。それだけでも救いになります」


「……」


宝焔王子に自分の心境を重ねながら、珀伶は胸を痛めた。



血の繋がった兄弟を失くした者同士、お互いの痛みは理解できるはずだと思いながら思い切って口を開いた。


「私は鏡を滅ぼすつもりでいます」


宝焔は、黙って珀伶を見つめた。


「いつかはこうなるはずだったのだと。危うい均衡でいつまでも続くはずはなかったのです。これを機に、鈴は鏡を叩きます」


珀伶が言い終えると、宝焔は頷いた。


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