鈴姫
「もちろん香もそのつもりですよ。いつかはこうなるべき、だったのですから」
にこ、と笑う宝焔に、珀伶は頼もしさを感じながらも、どこか薄恐ろしさを感じた。
この男は只者ではないと珀伶の勘が言っている。
それでもそう思っていることを悟られないように気をつけながら、珀伶は話を続けた。
「しかし、問題はどう攻めるかです。香と鈴が手を結んだとはいえ、鏡は侮れません。下手をしたら、こちらが返り討ちにあってしまう可能性も」
「ああ、そのことを父上に話しに来たのですね」
納得したように何度か頷いてから、宝焔は笑顔を向けた。
「大丈夫です、こちらに考えがあります。香は鏡国の弱点を知っていますから」
「弱点?」
「ええ。さあ、王のもとへ案内しましょう。こちらへ」
珀伶は戸惑いながらも、宝焔に促されて彼のあとについていった。