帰ルトコロ
言えない理由
一生懸命昔話をするレイに、俺は優しく微笑みかけた。
「どーした?」
すると、レイの話が途切れる。
「…え?」
一瞬目をそらし、またさっきと変らない笑顔を見せる。
「何がぁ?」
困ると目をそらす癖、変わってないね。
「ん?何かあった?」
俺はただ、レイを見つめて問いかける。
「あ……、あの………何でも無いよ?どうして?」
言いかけたと思ったら、やっぱり何でもないふりをする。
何かがある事は確かだけれど、問い詰めるのは良くないと思う。
「ううん。レイ、いつもと違うように見えたから。何かあったら言えよ?」
「…うん。」
戸惑いつつも頷くレイを見て、俺は立ちあがる。
そして礼に背を向けて軽く手を挙げる。
自分に言い聞かせるように、レイに告げる。
『お前は必ず、俺が護るから。』