帰ルトコロ
空を自由に飛び回る野鳥。
とても気持ちがよさそうだ。
いいなぁ。
魔法を使えば空なんて飛べる。
けれど、何故か鳥は自分だけの自由があるような気がして、羨ましかった。
「おーい、アキト?」
甲高い声で叫び、駆けよって来るのは、幼なじみのレイ。
昔から世話焼きで、いちいちうるさい奴。
小顔で肩まで伸びたつやのある黒髪に、同じ色の瞳。
スタイル良くて大人っぽくて、村では結構きれいな方。
俺ほどではないが、ちょくちょく告白されたりもするようだ。
ま、俺には関係ないけど?
「…何?」
顔は上に向けたまま返事をする。
「また空見てんの?」
ため息をつきながら近づいてくる。
ため息をつくくらいなら、俺にかまわなきゃいいのに。
けど、かまってくれなくなったら、寂しくなるもんなのかな?
レイは俺の横に立って、一緒になって空を見上げた。
「あ、鳥じゃん。何ていう鳥かな?」
空を飛び回る鳥に気付いたようで、首をかしげて一生懸命思い出そうとしている。
ま、レイの頭じゃ思い出せないだろう。
と言うか、あいつ鳥のことなんて勉強したことあんのかな?
いつまでたっても答えは出て来そうもないから、俺はレイの知識力に呆れながら答えてやった。
「あれはハクセキレイだ…。」
また上を向きながら呟くと、レイは苦笑しながら「物知りだね。」と言った。