帰ルトコロ




空を自由に飛び回る野鳥。


とても気持ちがよさそうだ。







いいなぁ。




魔法を使えば空なんて飛べる。

けれど、何故か鳥は自分だけの自由があるような気がして、羨ましかった。







「おーい、アキト?」



甲高い声で叫び、駆けよって来るのは、幼なじみのレイ。





昔から世話焼きで、いちいちうるさい奴。



小顔で肩まで伸びたつやのある黒髪に、同じ色の瞳。




スタイル良くて大人っぽくて、村では結構きれいな方。

俺ほどではないが、ちょくちょく告白されたりもするようだ。



ま、俺には関係ないけど?






「…何?」

顔は上に向けたまま返事をする。



「また空見てんの?」




ため息をつきながら近づいてくる。



ため息をつくくらいなら、俺にかまわなきゃいいのに。

けど、かまってくれなくなったら、寂しくなるもんなのかな?




レイは俺の横に立って、一緒になって空を見上げた。






「あ、鳥じゃん。何ていう鳥かな?」


空を飛び回る鳥に気付いたようで、首をかしげて一生懸命思い出そうとしている。



ま、レイの頭じゃ思い出せないだろう。





と言うか、あいつ鳥のことなんて勉強したことあんのかな?


いつまでたっても答えは出て来そうもないから、俺はレイの知識力に呆れながら答えてやった。




「あれはハクセキレイだ…。」




また上を向きながら呟くと、レイは苦笑しながら「物知りだね。」と言った。










< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop