帰ルトコロ
家族
「昔はさ、アキト泣き虫だったよね!」
嬉しそうに俺の恥ずかしい過去を話すレイ。
しばらく、俺たちは昔の話で盛り上がっていた。
けれど、レイが何だかいつもと違う気がするのは気のせいだろうか?
何故か、俺は今日のレイに違和感を覚えた。
元気が無いわけじゃない。
笑う数が少ないわけでもない。
何でだ…?
レイはいつもと同じように笑っているのに、焦りが積もる。
何故だ、何でだ?
何がいつもと違うんだ?
「でさ!……聞いてる?アーキートー?」
俺が相槌を打たなくなった事に気付いたのか、レイが心配そうに覗きこむように俺を見ていた。
「大丈夫?どした?」
俺はとっさに笑顔を作り、返事をした。
「ううん。何でも無い。ちょっと、考え事してた…。」
…わかった。
レイ…家の話を今日は全くして無いんだ。