帰ルトコロ
普通の人ならば何をそんなこと、と思うかもしれない。
けれど、レイは毎日毎日忘れずに俺のところに来ては、その日の家での出来事を話して聞かせてくれた。
雨の日でも、風が強い日でも、暑い日でも、寒い日でも。
レイが風邪をひいた日にだって、無理をしてまで必ず俺に家族の話をしてくれた。
『今日はね、お母さんがラズベリーを摘んで来てくれたの!すっごい美味しかったよぉ♪」
とても楽しそうな顔で。
『今日ね、お父さんに叱られちゃった…。』
泣きはらした顔で。
『聞いて聞いて!!おじいちゃんが村長になったんだよ!凄いでしょ?』
幸せそうな顔で…。
俺の両親が死んだ日から、毎日毎日…。
そんなレイの顔を見るたびに、レイの話を聞くたびに、俺は少しずつ勇気を取り戻した。
4年前の俺が12歳の時、両親は火事で焼け死んだ。
火事の原因は不明。
俺は、レイの家に遊びに行っていたから助かった。