帰ルトコロ
護れなかった、護れなかった、護れなかった…。
何度も頭の中で繰り返した、この言葉。
母親を、父親を。
母親のお腹には、もうすぐ生まれてくる妹か弟がいたのに…。
…護れなかった。
母さんは他の村から来た人で、魔法は使えなかった。
けれど、父さんは村の中では優秀な魔法使いだった。
何故父さんは、炎を魔法で消さなかったのだろう?
水魔法を使えばよかったのに…。
何か使えない理由があったのだろうか?
だったら、その時に俺がいれば少しは役に立てたのではないだろうか?
何故その時に俺は家にいないで遊んでいた?
自分を責めることしかできなかった。