おにいちゃん。



「ねぇ、嘉穂?なんで泣いてた?兄ちゃんに言えないこと?」

「…言えないこと。」

ガーン。 

今のおにいちゃんの表情を音にたとえるとそんな感じ。 

「そ……そっか。そうなんだ。」

「…だから、部屋戻っていい?」

「…あぁ……って、だめ!!俺もう流されねぇぞ!?」

…何それ?!逆ギレかよ?! 


「もぉ…なによ……。」

「…嘉穂。俺に教えて?泣いてた理由。」

…相変わらず、しつこい!! 

「あ〜もう!やだ!!!!」

「なんでだよ?!お前は俺の妹なんだから、心配なんだよッ!?」

「…………――――」

《お前は俺の妹なんだから》 


…そんなに、 

はっきり、 

言わなくてもいいじゃん。


「…もぅ…やだぁ!!!!なんでおにいちゃんおにいちゃんなの〜?!!馬鹿!」

「え゙……………。」



バタンッ!!! 

あたしは勢いよくドアを開けて部屋の外へ出た。 

「なんで、兄妹なの……?」

…なんであたしは 

…おにいちゃんが好きなの? 

…ダメだ、あたし。 

このままじゃ人生、 

棒に振る。 

 


…おにいちゃんのことは、 
忘れなきゃ。 






忘れなきゃ…………。 






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