おにいちゃん。
「…。」
「どうしたの?嘉穂…?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む裕恭。
「あたし…っ」
言わなきゃいけない…。
でも…。
「…やっぱり、なんでもないよ。」
「…いや、何か隠してる。」
隠してる…訳じゃない…。
言えないだけ…。
「ごめん、あたし…」
「…いいよ」
そう言って、裕恭は自分の部屋に戻っていった。
「…だってあたし、別れたくないもん…。」
別れよう、なんて、
言えるわけない。
「もうやだっ!!」
やだやだ!
もういや!!
あたしは裕恭の部屋へ向かった。
「裕恭ッ!!!」
「は!?何!?」
「…ッ」
ぶっちゅ〜〜ッ
「んん〜!?」
あたしは裕恭にキスをした。
「このまま聞いて」
「な…?いきなり何…」
「あたしは、兄弟に戻る。」
「は…??」
「裕恭は、ぉにいちゃんだもん。やっぱり、こんな関係よくない…。」
「…は?なにそれ…」
「あたし、もう、裕恭って呼ぶのやめるね。」
「ちょっ…」
「ばいばぃ、おにいちゃん。」
これでいい。
兄弟だから
これでいい。
さよなら。
裕恭。
ごめんなさい。
おにいちゃん。