シャワーと月明かりの中で
シャワーと月明かりの中で
ゴロゴロと大きな音をたてて雷が鳴り響く。
同居をしている旦那の両親は、体調を崩したお祖母さんの様子を見にと、田舎に帰ってしまった。
旦那は夜勤で帰って来ないし、今晩は私独り。
開放感を感じながら、広いリビングのソファーに、伸びをするように倒れ込んだ。
ふと、ガチャリと玄関のドアが開き、恐る恐るリビングから様子を伺う。
「あ~マジついてねぇ~」
ずぶ濡れのスーツで、水が滴り落ちる髪をブンブン振るその姿を見つけ、
私は慌ててタオルを差し出した。
「あれ?お義兄さんも行ったんじゃ…」
「え?ああ、今日だったんだっけ?俺は仕事だったしね」
有難うと、タオルを頭に被ると、彼は風呂場へと直行した。
お義兄さんとは、少し前に出張先から戻って来てから、一緒に暮らしている。
家族の中でもムードメーカー的存在で優しい。
本当のお兄さんが出来たみたい。
そう思っていたんだ。
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