シャワーと月明かりの中で
シャワーと月明かりの中で


ゴロゴロと大きな音をたてて雷が鳴り響く。

同居をしている旦那の両親は、体調を崩したお祖母さんの様子を見にと、田舎に帰ってしまった。

旦那は夜勤で帰って来ないし、今晩は私独り。

開放感を感じながら、広いリビングのソファーに、伸びをするように倒れ込んだ。

ふと、ガチャリと玄関のドアが開き、恐る恐るリビングから様子を伺う。

「あ~マジついてねぇ~」

ずぶ濡れのスーツで、水が滴り落ちる髪をブンブン振るその姿を見つけ、

私は慌ててタオルを差し出した。


「あれ?お義兄さんも行ったんじゃ…」

「え?ああ、今日だったんだっけ?俺は仕事だったしね」

有難うと、タオルを頭に被ると、彼は風呂場へと直行した。


お義兄さんとは、少し前に出張先から戻って来てから、一緒に暮らしている。

家族の中でもムードメーカー的存在で優しい。

本当のお兄さんが出来たみたい。
そう思っていたんだ。


< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop