花恋-はなこい-
「……真由が、

 分かんなくなった」


圭輔のあまりに冷たい言葉に

真由はただただ呆然とする。


ワカンナクナッタ―――


圭輔の口から

そんな言葉が出てくるなど、

真由は全く想像していなかった。


最初は小さかった涙の粒が

徐々に大きくなり、

そしてこぼれ落ちる。


「な、なんで……。

 私、本当のことしか言ってないよ?」


震える声で真由が言う。


それまで側で見ていた杏奈が

すっと一歩前に出ると、

「なんで、香坂君がそんなこと言うの?

 真由のこと好きなら、

 なんで信じてあげられないの?」

と、少し声を荒げて言った。


しかし、今の圭輔の心には

響かないようで、

表情を崩さず

ぼんやり一点を見つめている。




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