花恋-はなこい-
しかし、今度は蒼が

真由の言葉を完全に

かき消すように大声で、

「だって、俺。

 昨日、ずーっと真由ちゃんと

 一緒だったし。

 それに今日の朝から

 真由ちゃんと一緒に

 登校することになったし」

と、圭輔を軽く睨みながらも

楽しげに言った。


「違……。違うの、けいくん……」


真由は震える声で

懸命に圭輔に訴える。


でも、圭輔は

真由と目を合わせることすらしない。


「違う、の……」


真由はなおも言葉を続ける。


しかし、その言葉は

冷たい教室に虚しく響くだけだった。





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