花恋-はなこい-
母親とのティータイムも終わり

真由は部屋へと戻ってきた。


ベッドにちょこんと腰かけ、

右手を目の前へと上げる。


薬指にキラリと輝く指輪。


圭輔とお揃いで、

将来を約束し合った大切な証。


真由はそっとその指輪に触れ、

ふとそのまま外そうかと

力を入れたが、

溜め息をひとつつき

その手を指輪からはなした。


けいくんのこと、

ちゃんと信じなくちゃ……


真由はそう思うと、

今度は確かめるように

じっくりと触った。


圭輔のことを

思い浮かべながら。




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