花恋-はなこい-
真由はそっと横を向いた。


寂しげで儚げな表情の

杏奈が、真由の目に映る。


予餞会という響きが、

いよいよ聡史が

卒業してしまうのを強く感じ、

なんだか胸の奥が熱くなった。


「そこで、今回。

 2年生は各クラスに

 代表者男女2名出てもらい、

 体育館の壇上で

 3年生へのメッセージを

 読み上げることにしました」


早乙女先生の言葉に

教室内がどよめく。


あちこちから

「嫌だ」なり「面倒」などの

言葉が飛び交う。


そんな叫びを

一蹴するかのように、

早乙女先生は表情を変えずに

出席簿を思いっ切り教壇に

叩きつけた。




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