花恋-はなこい-
「だったら俺、

 真由ちゃんと一緒にやります。

 真由ちゃんだったら

 しっかり者だし。

 俺だって嬉しいし」


「え、ちょっと!

 何言ってる……」


急に蒼の口から指名され、

真由はその場に立ち上がった。


頭の中は酷く混乱し、

どうしたらいいのかわからない。


どうして、私を巻き込むのよ……


蒼のいい加減な提案を

否定しようと、

真由は顔を真っ赤にしながら

教室内に訴える。


「私、そんな、できません!

 藤岡君が勝手に……」


しかし、真由の必死な訴えは

早乙女先生の耳には届かなかった。


「菅野さんとだったら安心ね。

 では、藤岡君と菅野さんに

 お願いします」


早乙女先生の言葉に、

真由の全身の力が一気に抜け、

ふにゃりと椅子にへたり込んだ。


「そ、そんな……」


呆然とする真由の肩を

軽やかにぽんと叩きながら、

「じゃ、よろしくね。

 真由ちゃん」

と、蒼がにんまりと笑った。





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