花恋-はなこい-
真由と圭輔に向けられていた

全校生徒の視線が

その声に向けられる。


「に、新山先輩!」


聡史がその場に立ち上がり、

真由と圭輔に向かって

拍手を送っていたのだ。


その表情はいつもと同じ

穏やかでとても安心するものだった。


拍手をしながら

聡史はもう一度、声を掛けた。


「真由ちゃん。

 ほら、信じていたから、

 ちゃんと“その時”が来ただろ?」


“その時”―――


この間、聡史に言われた言葉。


信じて待っていれば

圭輔が気付いてくれる―――


全て聡史の言う通りだ。


ちゃんと信じていたから、

こうして圭輔が応えてくれた。


真由は聡史の方を見て

にっこりと微笑んだ。





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