花恋-はなこい-
その日の下校時間。


真由の隣には

柔らかな表情をした圭輔がいる。


しっかりと繋がれている

お互いの手。


久し振りの感覚に

真由は嬉しさを隠しきれず

口元が緩む。


圭輔の横顔を見るたびに

うふっと声が自然ともれる。


「ん、真由。どうした?」


その微かな笑い声に

気が付いたのか、

圭輔が甘い笑顔を

真由に向けながら訊いてきた。


このとろけるような

甘い笑顔もまた、

真由の心を満たしてくれる。


「ううん、何でもないよ。

 ただ……」


「ただ?」


真由の言葉に圭輔が

少し不安げな表情をする。


しかし真由はそれを

吹き飛ばすように

飛びきりの笑顔で、

「こうしてけいくんと

 一緒にいられて、

 すっごく嬉しい!」

と言った。




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