花恋-はなこい-
「どの機械がいいかな。

 けいくん、

 どれで撮りたい?」


訊かれた圭輔は

未だその機械に

圧倒されているようだ。


キョロキョロと目が泳いでいる。


「じゃあ、私決めちゃうね。

 これで撮ろ」


真由が指差したプリクラは

一番奥の比較的

目につきにくいものだった。


写真が苦手な圭輔を思って、

撮影の最中でも

あまり目立たない場所を

真由は選んだ。


圭輔は「おおう」と返事し、

おずおずとそのプリクラの方へと

歩く。


未知への遭遇。


圭輔にとって

そんな感じなのだろう。


真由が圭輔の背中を

押すようにしてその中へと入った。




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