花恋-はなこい-
「早速、曲入れようよ。

 やっぱり、まずは

 聡史からよね」


そう言うと杏奈は

聡史の返事を訊く前に、

慣れた手つきで曲を入れ始める。


「俺からなのかよ」


呟きながらも、

聡史はしっかりと

マイクに手を伸ばす。


「やっぱ、先輩の

 あの曲聴かなきゃ

 始まらないっすよ」


圭輔がそう言うと、

聡史は照れ笑いを浮かべた。


聡史の十八番、バラード。


イントロが流れると、

トレードマークの

メガネを外し

杏奈の手を優しく握り締めた。






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