花恋-はなこい-
杏奈と圭輔は

カラオケに行くと

マイクを離さないタイプだ。


マイクが2つあるから

まだいいのだが、

1つしかないお店だと、

2人はよくそれでもめる。


2人が歌い続けて

1時間が経った頃、

満足したのか

ようやく一息ついた。


「もう、聡史とは

 学校で会えないんだよね……」


ふと杏奈がぽつりと呟く。


すると隣に座る聡史が

杏奈の頭をそっと撫でた。


「1年、お互いに頑張ろう。

 杏奈の事、ちゃんと

 大学で待ってるから」


聡史の言葉に

杏奈はこくんと頷く。


「え、杏奈、もしかして……。

 先輩と同じ大学に進むの?」


真由は目を丸くしながら訊いた。







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