花恋-はなこい-
真由へと手を差し出したまま、

深く頭を下げ続ける圭輔。


その姿から

極度の緊張が滲み出ている。


こんな圭輔、

真由は見たことがなかった。


まさか、圭輔から

プロポーズされるなんて、

しかも、杏奈と聡史の目の前で

言われるなんて

思ってもいなかった。


室内にカラオケのBGMだけが響く。

杏奈も聡史も

息を飲んで2人を見守っている。


真由はゆっくりと立ち上がり、

圭輔へと一歩近付く。


そして差し出された

圭輔の手をそっと握り締めた。


「……よろしく、お願いします」


真由が返事をした瞬間、

圭輔は勢いよく真由を抱きしめた。


「ヨッシャー!」


杏奈と聡史も

立ち上がったかと思うと、

それぞれ真由と圭輔を

思い思いに揉みくちゃにした。






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