花恋-はなこい-
お茶を全員分配り終わると

真由の父親の隣の席へと

座った。


しばしの沈黙。


なんともいい表せない

独特の空気が4人をつつむ。


真由の手には

じんわり汗が滲み出てきた。


一体いつまで

この沈黙が続くのだろう。


真由の胸が

どんどん苦しくなってくる。


この重苦しい空気に

新しい風を吹き込んだのは、

圭輔ではなく

真由の父親だった。


「圭輔君、

 こうして私と会うのは

 久し振りだね」


そう切り出した真由の父親は、

意外にもとても穏やかな顔を

していた。





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