花恋-はなこい-
膨らんでいた蕾が

一気に花ひらき、

街全体が淡いピンク色に

染まった4月。


ひらひらと舞う

桜の花びらを目で追いながら、

真由は圭輔と

しっかり手を繋いで

学校へと歩いていた。


今日から3年生としての

1年が始まる。


最後の高校生活が幕を開ける。


入学式が行われる前に

在校生の始業式が

行われることになっていた。


「クラス発表、あるんだよね」


真由がぽつりと呟く。


圭輔は真由に

視線を合わせると、


「真由は文系、

 俺は理系だから

 同じにはなれないな」


と少し残念そうに言った。


それは2年の時からだから

仕方がないということは

真由は分かっている。


ただ―――







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