花恋-はなこい-
真由にとって、

気掛かりなことが

一つだけあった。


「藤岡君たちと……、

 別のクラスになると

 いいんだけどな」


そう。


蒼と翠の存在だ。


真由と圭輔の仲を

嫌というほどめちゃくちゃにした

蒼と翠。


できれば、

これ以上関わりたくない、

そう真由は思っていた。


それは圭輔も同じだった。


「そうだな。あいつらとは、

 はなれたいな」


真由たちの視界に

校門が映る。


それまで繋いでいた手を

圭輔はパッとはなした。


これは、きっと

高校卒業するまで変わらないのかな、

と真由は心の中で呟く。


校門に立つ生徒指導の先生に

挨拶をすると、

真由と圭輔は

クラス一覧表が貼られている

掲示板へと向かった。





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