花恋-はなこい-
真由はふと

昨日の光景を思い出した。


偶然『ナノン』で

見かけた圭輔。


あれはこの

プレゼントを買うため。


そして一緒にいた

見慣れない制服の女の子。


その子は詩織ちゃんの友だちで

今回これを選ぶのに

手伝ってくれた子。


昨日の圭輔の“用事”とは、


<自分の誕生日プレゼントを買う>


用事だったのだ。



胸の中にあったもやがすっと取れ、

真由は心からの笑顔を見せた。


「そうだったんだ」


そう言いながら、

真由は右手の薬指をそっと撫でた。




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