花恋-はなこい-
「私、そろそろ帰ります。

 おばさん、詩織ちゃん、

 今日は本当に

 ありがとうございました」


満面の笑みを浮かべて

真由はぺこりと頭を下げる。


「また、ゆっくり遊びにきてね」


圭輔の母親は穏やかに微笑んだ。


真由もまたにこりと笑って

返事をした。




圭輔の家からの帰り道。

冬の冷たい風が体をすり抜け、

真由はびくんと小さく震える。


心はほっかほかに温まっていたが、

やはり真冬の夜風は

思っている以上に身にしみる。



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