花恋-はなこい-
それを見ていたのか、

圭輔がさりげなく真由の肩に

自分が巻いていた

マフラーをそっとかけた。


「ありがと、けいくん」


真由の言葉に圭輔は

小さく「うん」と呟いた。


そして、圭輔の手が

そっと優しく真由の手を包み込む。


こうしたちょっとした小さな優しさが、

圭輔の素直な気持ちに

触れられた気がして、

真由はとても満たされる。


手を繋いでいると

もっとたくさんそれを

感じられる気がする。


たった数分の距離。


短い時間だけれど、

真由にはそれがとっても

穏やかに感じていた。




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