花恋-はなこい-
台風の目
誕生日から一夜明け、

真由はいつものように

圭輔と一緒に登校している。


ただ、ひとつだけ違うのは、

お互いの右手薬指に

ペアリングをしている

ということ。


それが真由の心を

甘い蜜で満たしてくれていた。


2年B組が近付くと

圭輔は真由の方をちらりと向き、

「じゃあ、放課後。

 迎えにいくから」

と伝え、右手を軽くあげ

自分の教室へ行った。


「うん」


圭輔の後ろ姿に向かって

小さく返事をする。


見えなくなるまで

ずうっと視線を追ってから、

真由はB組の教室へと入り

机にバッグを置いた。




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