ダイダロスの翼
「……レイノルド、ああ、ここにいた」
騒々しい葉擦れの音から1拍遅れて、よく通るなめらかな声がレイノルドの耳に届く。
振り返ると、黒髪の女性が、優雅な仕草で枝を手折りながら木陰から姿を現すのが見えた。
木々のすきまを抜けてようやく見えるようになった長い髪はつややかな黒。
虹彩も黒だが、赤らんだ白肌と彫りの深い顔立ちはヨーロッパ系のものだった。
「マリーナか。
悪い。……少し、『町』の方を見たかったんだ」
レイノルドがそう伝えると、マリーナは長い黒髪をかきあげながら視線をフェンスへ移す。
細めた黒目に、金網が映った。
「このフェンスの向こうに、『町』があるのね。
研究のモルモット扱いされている住民がそこにいるんだわ」
「ああ。だが心配ない。
俺達『ダイダロス』が、住民を助けだす」
「ええ」
騒々しい葉擦れの音から1拍遅れて、よく通るなめらかな声がレイノルドの耳に届く。
振り返ると、黒髪の女性が、優雅な仕草で枝を手折りながら木陰から姿を現すのが見えた。
木々のすきまを抜けてようやく見えるようになった長い髪はつややかな黒。
虹彩も黒だが、赤らんだ白肌と彫りの深い顔立ちはヨーロッパ系のものだった。
「マリーナか。
悪い。……少し、『町』の方を見たかったんだ」
レイノルドがそう伝えると、マリーナは長い黒髪をかきあげながら視線をフェンスへ移す。
細めた黒目に、金網が映った。
「このフェンスの向こうに、『町』があるのね。
研究のモルモット扱いされている住民がそこにいるんだわ」
「ああ。だが心配ない。
俺達『ダイダロス』が、住民を助けだす」
「ええ」