†SweetBlood†
「気に入ったようだな。」
玲瓏たる響きの声が突然背後、それもすぐ傍から聞こえ慌てて振り返る。

目に飛び込んできたのは月光を受けきらきらと光る銀糸の髪。
顔を僅かに傾けた拍子に結わえられていない一房が肩口からサラサラと零れ落ちる。

肌はぬけるように白く、少し薄めの唇は朱く艶めいていた。

月も欺くや、いや月の方が恥じ入らんばかりの美貌。
女性と見紛うほどだが、睫に煙る瞳に宿った意志の輝きが、彼を男性と知らしめていた。


その瞳は、人には在らざる真紅。
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