意地悪LOVER
好き嫌い
土曜日。
「初めまして!今日からサッカー部のマネージャーを務める、相沢ひかりです!よろしくお願いします!」
朝からちゃんと気合いを入れてきたのに、たくさんの部員を目の前にしたらやっぱりだめ。すっごく緊張しちゃう。
部員からの視線がすっごく痛い。
特に、あいつ。
玲皇君からの視線がかなり痛い。
ていうか、刺さってる気がするのはあたしだけ…?
「ひかり!あんま緊張しなくて大丈夫だからさっ!」
大地があたしの肩にぽんっと手を置いて、緊張を和らげてくれる。
へらっと、ニヤケそうになる。
「…」
そんなあたしをじっと見続けてる玲皇君と目が合う。ううん、合ってしまった。
「…ゴホンッ…」
ダメダメ。ここには玲皇君がいるんだし、大地のこと好きってバレないようにしなきゃ。玲皇君にばれたら、何されるかわかんないし…。
「んじゃ、ひかり。部員紹介していくな」
三年生はもう引退を迎えていて、今は大地がサッカー部の主将みたい。
さすが、兄貴って感じだもん。かっこいいなぁ。
丁寧に一人ずつ大地が部員を紹介していく。
そして…
「…橘 玲皇。一応、一年では一番エースだな」
大地の紹介と一緒に、しらじらしく玲皇君は頭を下げる。
「…そ、そっかー…!」
…なんて。大地が近くにいるからあたしも納得してるけど、ほんとはあんたなんてちぃーっとも認めちゃいないんだから!