意地悪LOVER
「…大地と…話すな…?」
そ、そんなの無理!…大地と話すことはあたしの唯一の幸せで…大切な時間なのに。
「そこまで縛らなくても良いじゃない!」
「うるせ。ひかり、お前自分の立場分かってねぇだろ」
あたしは玲皇君のその言葉にグッと押し黙る。
「俺が、キスのこととかを言わないでいるからひかりは今でも大地先輩と普通に話せるんだぜ?」
「…」
確かに。そうかもしれない。
だけど、あたしが大地を好きって知ってて…そんな事言うなんて…。
…辛いよ…。
「それに一個教えてやるよ」
「…え?」
ちょっとその言葉に驚きながら、あたしは玲皇君の方に目をやる。
すると、玲皇君はクスクス笑いながら。
「…大地先輩…ひかりの事好きじゃないんだって」
そうこぼした。
なんだか気分は最悪。外は快晴なのに、あたしの気持ちは嵐の後みたい。
どうしてそういうこと言うの…?
一体あたしが玲皇君に何したって言うの…?
「…ひどい…。ひどいよ…!」
「可哀想だな、ひかり。あんなに大地先輩のことが好きだったのにな」
言葉はあたしに同情しても、玲皇君の表情はあたしをバカにしてる。
大嫌い。玲皇君なんて、大嫌い。
大地があたしを好きなわけないって…知ってたけど。知ってたけど、改めていわれるとすごく辛い。
きっと、玲皇君は分かっててそれをしてるんだ。
あたしが傷つく姿を見るのが…楽しいんだ!
「…じゃ、俺はグランドに戻るわ。…ひかりもそろそろ出てこいよ」
玲皇君は勝ち誇った顔をして、あたしの居る部室から去った。