意地悪LOVER
「おにーさん達、紳士なら一人で女の子を誘わなきゃ」
ふと、後ろからそう聞こえた。
『あぁ!?何だって!?』
男のその声と同時に、あたしも後ろを振り返った。
すると、そこには長身で瞳が鋭い男の人が立っていた。
顔はすごく整っていて綺麗。ていうか、こんなにも綺麗な顔を持っている人、見たことないくらい。それに、髪の毛はパーマをあてているのかふわっとしていて無造作ヘアー。
こんなときに不謹慎だけど、その人にあたしは見入ってしまう。
「だーかーら!女の子嫌がってんでしょ?」
男達の間を割って入ってきて、その男の人はあたしの肩を抱き寄せた。
その瞬間に香水の良い香りがフワッと香る。
『その女は俺らが最初に見つけたんだぜ!?』
『邪魔すんじゃねぇぞ!』
後ろでそういう男達の声が聞こえているのだけど、あたしを助けてくれた人はまったく動じずに、"行こ"といって二コリと笑ってる。
完全無視の態度に不良達は腹を立てたのか、背後からあたし達に襲い掛かってきた。
「…もー、ほんと穏やかに解決しようぜ?」
あたしを助けてくれた人は、襲いかかってくる不良達を難なくすり抜け、二人の腹に蹴りを一発。
瞬間に、不良たちはうずくまる。
一瞬の出来事。
「これに懲りたら、もうやめる事だな」
そう言って、そのままあたしの肩を抱いてあたし達はその場を立ち去った。