意地悪LOVER
小さな想い
『ありがとうございました!!』
サッカー部全員が、グランドに向かって終わりの挨拶をする。
この瞬間、あたし結構好きかも。
仲間が一つになる気がするから。
だけど、一瞬で気分は最悪に戻される。
玲皇君があたしを見つめる。…ううん、睨んでる。
まるで、逃げるな。
と言わんばかりの鋭い目付きで。
大地にあたし達が付き合ってると伝えたあと、玲皇君に家に来るように言われた。
もちろん、断った。
…だけど、玲皇君は…
『断るならここでヤってやる』
あたしを脅した。
正直どうすれば良いのかなんて全然分からないよ。
ただ、分かってるのは家に行くという事は
やっぱりそういう事。
覚悟しなきゃいけない。
「ひかり!」
後ろから玲皇君に呼び止められる。
制服に着替えてあって、その服の乱れからすこし急いでいたのが分かる。
「…行くか」
あたしの一歩先を歩く玲皇君にあたしはゆっくりついていく。
本当にあたしは今から玲皇君家に行くのだろうか?
そんなあたしの気持ちを悟ったのか、玲皇君はこちらを振り向いた。
「もうすぐだから」
玲皇君のその言葉にあたしは何も言わず、ただ頷いた。
今日が早く終わるのを願って。