意地悪LOVER
タバコを見つめる玲皇君を見ながらあたしは思う。
タバコを吸わないんだ。
はたから見れば玲皇君は年下だって思えないくらいの大人っぽい綺麗な顔してるし。
タバコだって吸ってそう。
だけど、実際玲皇君はあたしのひとつ下でもちろんタバコも吸わない。
ちょっとだけ見直したかも。
…当たり前のことなんだけど、玲皇君は普通じゃないから余計偉く感じる。
「吸うと思ってた?」
「…うん。だって…」
「まーね。よく言われるし」
タバコを机の上において、どこか寂しげに笑う玲皇君。
その表情には何か意味でもあるのかな?
「…でも、良かった。」
「え?」
「玲皇君がスポーツには真剣なんだって分かってすごく安心した」
「…!」
驚いた顔の玲皇君。ほんとはあたし自身こういうことを言うのに驚いてる。
でも確かに見方は変わったよ。あたしが玲皇君に対する見方は完全に変わった。
…でも、やっぱり好きにはなれない。
それでもあたしは大地が好きなんだ。
玲皇君がどんなにスポーツマンでも。
あたしは大地以上にスポーツを愛してるとは思えないの。ううん、大地だからそう思えるし、大地しかそう思わない。
玲皇君が信用できない。
またしばらく沈黙が続いて、その沈黙を玲皇君が"家まで送るわ"と言って静かに破った。