意地悪LOVER
「大地、どうしたの!?」
とりあえず玲皇君が大地に何か言う前にあたしは先に大地に話しかける。
「…あ、うん。ちょっと話したいことがあってさ」
「…あたしと?」
「ああ…」
大地のその瞳はどこか真剣で、どうすれば良いのかわからなかった。
確かに今日の玲皇君は優しかったし、変だった。
玲皇君のまた違う面を知れて、嬉しいって思った自分も居た。
だけど、大地を目の前にしたらこんなにも息苦しくなる自分がいる。
大地を想う自分がいる。
「…俺、帰ります」
気まずそうにしてたあたしを察してくれたのか、それとももう付き合ってられないと思ったのか、玲皇君はもと来た道を帰りはじめた。
「…あ、…あ…」
"送ってくれてありがとう"
それさえもあたしに言わさないで、帰っちゃうんだね。
しばらく玲皇君の後姿を見ていると、大地が"公園行こ?"と言って玲皇君とは反対方向に歩いていった。
公園に着くと、ちょうどベンチがあって二人ともそこに座った。
「やっぱ二人ってほんとに付き合ってんだな!…一緒にいるとこ見ちゃったし」
「…あ、うん…!」
急いで笑顔を作る自分。いつからこんなに愛想笑いが上手くなったのかな?
いつもは愛想笑い下手だねー!なんて麻衣にからかわれてたのに。
「いや、俺実は玲皇の嘘だとおもってたんだよね」
「…嘘?…何で?」
「ほら、玲皇ってあんな奴だろ?だからまたひかりのことからかってるのかと思ってた」
からかってる。
あたしだってそうだと思ってた。ううん、からかいであってほしかった。
「…玲皇…本気みたいで良かった…」
掠れた声で大地は静かに笑いながら言った。
あたしにはその言葉の意味がよく理解できなくて、ただ大地を見つめることしか出来ない。
「…大地?」
「…俺、お前らのこと…ちゃんと応援するからな…」
ただじっと見つめることしか出来ないあたしの頭をゆっくり、大きく撫でながら大地はそうこぼした。