意地悪LOVER




カポン…。


お風呂の湯気に包まれて、ちょうど良い外の空気に触れながらあたしたちはゆっくり大きく湯船に浸かっていた。



「うーんっ!良い気持ちっ」

「ま、麻衣!一応ここ外なんだよ?そんな大きく伸びしたら見えちゃうよ!」


あたしの心配を他所に麻衣は相変わらず大きく伸びをしている。

あたしはもうあまりの緊張のあまりに、ブクブクと顔を半分お湯の中に沈める。


「…で、ここ最近。ひかりちゃんに何があったのかな?」

急にあたしの核心に触れる麻衣。

あたしはびっくりして顔をお湯から出す。


「…何って…?」

「…大地と、何かあったんでしょ?」

「大地とは普通なの」


そうだよ、あたしが意識してるだけで大地とは本当は何にもないんだよ。


だけど、あの日。
玲皇君に送ってもらった日、大地に抱きしめられたのは本当にびっくり。

大地が何を考えて、その行動に出たのかはまったく分からないんだけど。


「…じゃ、何がそんなにひかりを疲れさせてるの?」

「…」


あたし、そんなに疲れてる?

玲皇君と付き合うことが、そんなにあたしは苦痛なのかな…?



「…橘 玲皇って知ってる…?」

「…橘?誰それ?」

「あたし、今その人と付き合ってるの」


あたしの発言に、麻衣の驚いた声が露天風呂に大きく響き渡った。






 
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