意地悪LOVER




そして、玲皇君とそうなった経緯、大地に抱きしめられたこと。その全てを麻衣に話した。



「…まさか、キスした人が…そいつだったなんてね…」

「…あたしもびっくりしたんだから…」


「救世主なのか、疫病神なのかわかんないね」


麻衣はそう言って、クスクス笑うけどあたしはそうは思わないな。


きっとそんなものじゃないよ、玲皇君は。

多分悪魔なんだ、本当の。

だって、玲皇君が笑うとすごく怖いもん。



「玲皇君なんて嫌い」



再びブクブクと泡をたてながらあたしはお湯に顔を沈ませていく。



「大地なら、分かってくれるよ。だから、もう玲皇君と付き合うのなんかやめたら?」



そう思う?あたしもそう思うんだ。


だけど、どこかまだやっぱり怖いの。

大地があのことを知ってしまったら、あたしを見る目が変わるんじゃないかって思ってしまうの。


だって、キスされたくせに付き合ってるんだよ?

普通そんな女の子、嫌いだよね。


全部、全部こうなったのも、玲皇君のせいだ。






ふと、麻衣との会話が途切れてあたりがシーンと静まり返る。


その中で、何故か背中から視線を感じる。





「?…」


恐る恐る振り返ってみると





「おー、貧乳な割にいい眺めー!」


なんて呑気な事言って、覗き見してる玲皇君の姿。




あたしはびっくりして、目をゴシゴシこする。
だけど、何回擦ったって変わらないその景色。

目の前には確かに今まで会話の話題になっていた玲皇君の姿が。





ニヤニヤ笑いながら見てる玲皇君に、あたしが唖然としていた時だった。




「こら、玲皇!てめぇ、女風呂覗き見してんじゃねぇぞ!」

と、どこからか玲皇君に対して怒る大地の声が聞こえてきた。






何で?
何で何で!?


何でここに二人がいるのー!?




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