意地悪LOVER
グググ…と異物感があたしの中を犯す。
痛い、怖い、嫌だ。
だけど、玲皇君を止めることなんて出来ない。
「初めてが外って滅多に体験できないよ?」
相変わらず楽しそうに囁く玲皇君。
意地悪。意地悪だ、玲皇君。前は拒否したらやめてくれた。だけど、今はやめる気もない。むしろ、する気満々だ。
自分の初めての場所が外だというのと、好きでもない人とすることが本当に嫌で、あたしの目からはもう既に大量の涙があふれ出ていた。
その間にも玲皇君の手はどんどん進む。
初めては、大切にしたかった。
そんな女の子の気持ちはやっぱり男の子には伝わらないものなのかな?
男の子はただしたいだけなのかな…?
嫌。…そんなの、嫌だよ…!
玲皇君なんて…、玲皇君なんて…
「…嫌い…嫌い…」
自然とそれは、あたしの口から零れていた。
同時に玲皇君が顔を上げる。
「…ひかり?…今、…」
「…前…から、嫌いだったけど…、今の…れ、お君はっ…大嫌い!」
涙のせいで上手く言葉に出来ない中で、あたしはとにかく叫んだ。
「…!」
あたしの鳴き声が響きわたる中、玲皇君は進めていた手を止めた。
そして、ゆっくりあたしから離れる。
「…怒った…?」
そう言って、あたしの目に溜まった涙をゆっくり拭う玲皇君。
怒った?
そんなセリフ、どうして玲皇君が言えるの?
それに怒ってたのは明らかに玲皇君の方。
あたしだって、怒りたい。
あんなことされて、怒れないはずがないじゃない。
言いたい、きつく言い返したい。
だけど、どうしてそんな瞳であたしを見るの?
やっぱり時々玲皇君は変。
優しくなったり、冷たくなったり。
怒ったかと思うと、こうして辛そうな瞳をする。
そんな玲皇君を見て、何も言えないあたしも絶対変。
しばらく沈黙が続いて、あたしが何も言わないと分かった玲皇君は
「…ごめん」
そう小さく呟き、あたしからゆっくり離れて立ち去った。