意地悪LOVER
「んっ!!」
ようやく事の重大さに気付いたあたしは、必死にその男の胸元を叩いて拒否する。
だけど、さっきと一緒。男にあたしの力はまったく歯が立たない。
ちょっと…?
今、あたし知らない人にキスされてる…!
「んんー!!」
あたしの叫びもむなしく、男のキスはとまらない。
やだ…!やだよ…!あたしにはちゃんと好きな人だっているし…。それに、初めてのキスはちゃんとした人としたかったのに…!
なのに、全部この人のせいで無茶苦茶だ…!!
「息、してる?」
あたしが苦しそうにしていたのを察してくれたのか、男はやっと唇を解放してくれた。
「はっ…!…ちょ…何するの!?」
「え?お礼をもらったんだけど」
男は何の悪気もない、平気な顔でそう言う。
最悪だ!さっきまでいい人だって思ってたあたしがバカみたい!
「何も、キスすることないでしょ!?」
「初めてだった?」
口端をあげて、嫌味たっぷりに笑うそいつ。
嫌いだ、この人。
一瞬でもときめいたあたしって本当にバカ!
「こんなの…こんなの…!さっきの人と変わらないよ!!」
あたしは仕返しに思いっきりそいつの頬にビンタをお見舞いしてやった。
そして、何かを言ってる男を無視してそのまま学校へと一直線に向かって行った。