意地悪LOVER
二人の想い
ザー…ザー…。
急に空は泣き始めたかのように、大粒の雨を大量に降らせていた。
そう、まるでひかりの涙というかのように。
俺はただその大粒の雨をぼーっと眺める。
別に楽しみでもなかったこの土日を使ったミニ合宿。ひかりを偶然温泉で見つけたときはすげーワクワクした。
嬉しいとか、会いたかった…とかじゃなくて、また遊べる。
そう思った。
このミニ合宿にはマネージャーがついてこないって大地先輩が言ってたから、マジでつまんないって思ってた。
いや、実際つまんないのかもしれない。
偶然ひかりに会ったのはいいとして、ひかりとは気まずくなったし…外は大雨でどうせサッカーも出来やしない。
何一つ、楽しくないことばかり起きる。
それにさっきから考えれば考えるほど腹が立つ。
大地先輩とひかり。
二人の間に何があったのか…、それが気になってどうしようもない。
怒りに任せてひかりにあんなことをしてしまったから、もうひかりは俺を口を利かないかもしれない。
…なんだろう、この気持ち。
どうしてだろう、この罪悪感。
たった一言。ひかりを脅せば、すぐ話すことなんて分かっているのに。
今はひかりを泣かすことが辛い、そう思ってる。
心の中では
"ひかり泣き止んだかな"
"今、笑ってるかな"
そんな俺の勝手な思いが交差している。
だけど、そんなの。
バカらしくって、笑ってしまう。
ガラっ…。
「…!」
急にドアが開いた。
驚いてそっちの方へ目をやると雨に濡れたのか、タオルを肩にかけて部屋に大地先輩が入ってきた。