意地悪LOVER
外はさっきよりもだいぶ大粒の雨が降っている。
当たると痛いくらいだ。
それにピカピカと光って雷が鳴ってる。
こんな天気の中、ひかりはどこにいるんだ…?
だけど、俺も俺かもしれない。
傘も差さずに、ただ行く当てもなくひかりを探してるのだから。
もちろん、さっき二人で居た場所は探した。
いるわけないけど。
でも、もしかしたら…そう思った。
…俺。なにやってんだろ。
こんなのやっぱり俺じゃないんだよ。
だって、一人の女に対してこんな風に一生懸命になったこと…あったけ?
いや、なかったはず。
それに、俺とひかりは普通の恋人じゃないはず。
情さえなかったはずだ、お互いに。
「…ひかりっ…!」
名前を呼んでみる。
返ってくる返事に期待して。
だけど、その声はいとも簡単に雨の音に消されてしまう。
視界は最悪。何も見えない。
「はぁ…っ…は…」
ひたすら夢中で走ったせいか、息をするのも忘れて俺は立ち止まる。
ほんと、笑えるよな。
俺一体何に対してこんなに頑張ってるんだろ。
ひかりが"彼氏"だから?
大地からの質問に答えられないから?
ひかりの彼氏だと証明したいから?
全部違う。
ただ分かっているのは
ひかりと大地に嫉妬して、ひかりを心配する自分がいるということ。
それだけはどうしようもなく、嫌でも俺の中で感じてるんだ。