意地悪LOVER



授業中はそのことを考え出すととまらなかった。

いつもなら寝て過ごしていたつまらない授業も、今日だけは何故か特別な時間に感じた。

胸にポッカリ開いた穴の正体をあたしは突き止めたくて、一生懸命探した。

だけど、そんなの見つかるわけもなくただ時間は過ぎていくばかり。


見つけられないことに、寂しくて苦しい気持ちが募っていく。


何で?


どうして見つけられないことに対してあたしは寂しくて苦しくなるの?




もう何がなんだかわかんない。



そんな状態の中で、あたしは部活に行く用意をし始める。



「ひかり、ちょっと」


後ろから麻衣があたしの肩をポンポンと叩く。


「どうしたの?」

「…あの人達が呼んでるみたい」


麻衣に言われて指を指した方向に目を向けてみると、そこには四~五人の女の子が。



スリッパの色を見てみると、その色からして一個下の学年だと分かる。

咄嗟に玲皇君の顔が浮かびあがる。




「…なんだろ」

「行くの?」

「呼んでるんでしょ?」

「…大丈夫?」



麻衣は心配そうにあたしを見つめるけど、あたしは"大丈夫"といって笑う。


だけど、そんな言葉はニセモノで。


あたしの心は怖がってる。


だって、その女の子達があたしに言う言葉がなんとなく予想できるから。


だからって、逃げるつもりはないのだけど。




あたしはとりあえず、用意していた荷物を教室に置いてその子達の元へと向かった。



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