意地悪LOVER
「じゃ、早く部活に来いよ」
「…あ、うん…」
玲皇君は静かにそういうと、何事もなかったかのようにまたツンとして教室を去った。
そして、あたしも荷物を自分の教室まで取りに帰ってから、少し遅れてグランドへと向かった。
「ひかり、おっせーよ!」
「え、えへっ、ごめん…!」
グランドにでると既にご立腹な様子の大地。
まあ、まだ本気で怒ってまではいないようだけど…。
「何してた?」
「え!?…あー…、居残り課題?」
「いや、俺に聞くなよ」
ビシっと大地の突っ込みが飛んでくる。
良かった、結構普通かも。
それに、あたし…大丈夫だよね?
さっきの女の子達に言われた事とか…いろいろ…気持ちが顔に出てないよね?
大地には知られたくないから。
絶対に隠すんだ。
「そういえば、…今日一緒に帰らね?」
「え…?」
「…いや、最近世の中物騒だろ!?まぁ、ひかりを襲う奴なんていねーと思うけど…送ってやるよ!」
「…大地、それってバカにしてんの!?」
「うおー!嘘だよ、嘘!」
プププと笑う大地。
かっわいー!!
って、あたしバカにされてんじゃんかー!
…だけど、嬉しいかも。なんて思う自分がすっごく憎い。
玲皇君に悪いって思いながらも、大地に誘われたことを嬉しいって思う自分がかなり憎い。
「あ…」
「え?なに、ダメとか?」
「…違う、違うの。その…あの…」
あたし、何舞い上がってんの?
だって、あたし玲皇君と付き合ってんだよ。
なら大地と帰っちゃダメじゃんか。
「玲皇だろ?」
「…!」
心で考えていたことを簡単に大地に言い当てられてしまう。
うっわ、顔に出てたのかな…。
「…何で分かったの?」
「…ひかり、優しいもんな。…でも…」
「……?」
あたしが大地の言葉を理解出来ず、ただじっと見つめていると。
「大丈夫だよ。玲皇、今日はもういねーし」
と呟いた。