意地悪LOVER

温もりと嘘




ひかりと出会って。
よく昔のことを思い出すんだ。

小さいときは
父さんと母さんと…いろんなとこへ遊びに行ったなぁ、とか。

小学校のころはかけっこで一番とって、母さんに頭を撫でられて得意な気持ちになってたなぁ、とか。

…中学校の時は。
母さんと父さんはもう別々にいたけど。

それに、中学校の時は俺が俺じゃなかった。
何をしなくてもみんなに好かれることが俺に自信を持たせた。

だけど、何かが違ったんだ。

『玲皇ってかっこいいから自慢できる~!』

『一緒に歩いてたら目立てるから良いよね』


そういう過去の俺の女だった奴ら。


どこを見てた?

何を好きだった?
…俺を好きだった?

いや、違うな。そいつらは俺を見てなんかいなかったんだ。俺の容姿、姿、格好だけを見て好きだとぬかしてたんだ。


俺が中学にあがると同時に父さんから離れていった母さん。


二人にいつから愛はなかった?
俺のことをいつも応援して、笑ってた母さんは、いつから愛想笑いに変わった?


そうだよ、結局みんな俺の中身を何一つ愛してはくれなかったんだ。


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